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大阪高等裁判所 昭和38年(く)68号 決定 1963年9月16日

少年 H(昭二二・八・三生)

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の要旨は、原決定は本少年に対する要保護性の認定を誤り、その結果少年に対し著しく不当な処分であるから、再考を求めるため本件抗告に及んだ、というのである。

よつて記録を精査し案ずるに、本少年は運転免許を有しないのに、友人の軽二輪自動車を借り之を運転し本件事故を起したことは、本少年も自ら認めるところであり、事故の原因、態様に徴すると本少年の責任は重いといわなければならない。しかも本少年は本件事故の一ヵ月前にも無免許運転で検挙された事実が窺はれる。また家庭裁判所調査官の調査報告書によると、本少年の家庭は両親共健在で経済的にも恵まれ、所論のとおり保護者において一般的には保護能力はあるものと思料せられるが、しかし家庭は交通違反に対する罪悪感に乏しいと見られる点もあり、此等の事情と、本少年が高校一年に在学中であること、本件事故については少年も反省していることなどを考慮し、少年に対する刑事処分を避け本少年を保護観察に付し保護司の適切な指導のもとに遵法精神を培はしめることが相当であるとした原決定は正当であり、本件抗告は理由がない。

よつて少年法第三三条第一項少年審判規則第五〇条により主文のとおり決定する。

(裁判長判事 三木良雄 判事 細江秀雄 判事 山下鉄雄)

参考二 少年調査票<省略>

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